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28 平泉

[おくのほそ道,岩手県,平泉町,28 平泉]

28 平泉(ひらいずみ)




地図


高舘義経堂 卯の花清水 毛越寺 中尊寺

原文


三代(さんだい)の栄耀(えいよう)一睡(いっすい)の中(うち)にして、大門(だいもん)の跡(あと)は一里(いちり)こなたにあり。

秀衡(ひでひら)が跡(あと)は田野(でんや)になりて、金鶏山(きんけいざん)のみ形(かたち)を残(のこ)す。

まず、高館(たかだち)にのぼれば、北上川(きたかみがわ)南部(なんぶ)より流(なが)るる大河(たいが)なり。

衣川(ころもがわ)は、和泉が城(いずみがじょう)をめぐりて、高館(たかだち)の下(もと)にて大河(たいが)に落(お)ち入(い)る。

泰衡(やすひら)らが旧跡(きゅうせき)は、衣が関(ころもがせき)を隔(へだ)てて、南部口(なんぶぐち)をさし堅(かた)め、夷(えぞ)をふせぐとみえたり。

さても義臣(ぎしん)すぐつてこの城(じょう)にこもり、功名(こうみょう)一時(いちじ)の叢(くさむら)となる。

国破(やぶ)れて山河(さんが)あり、城(しろ)春(はる)にして草(くさ)青(あお)みたりと、笠(かさ)打敷(うちしき)て、時のうつるまで泪(なみだ)を落(お)としはべりぬ。

  夏草や 兵(つわもの)どもが 夢(ゆめ)の跡(あと)

  卯の花(うのはな)に 兼房(かねふさ)みゆる 白毛(しらが)かな 曽良(そら)

かねて耳驚(おどろか)したる二堂(にどう)開帳(かいちょう)す。

経堂(きょうどう)は三将(さんしょう)の像(ぞう)をのこし、光堂(ひかりどう)は三代(さんだい)の棺(ひつぎ)を納(おさ)め、三尊(さんぞん)の仏(ほとけ)を安置(あんち)す。

七宝(しっぽう)散(ちり)うせて、珠(たま)の扉(とびら)風(かぜ)にやぶれ、金(こがね)の柱(はしら)霜雪(そうせつ)に朽(くち)て、すでに頽廃(たいはい)空虚(くうきょ)の叢(くさむら)と成(なる)べきを、四面(しめん)新(あらた)に囲(かこみ)て、甍(いらか)を覆(おおい)て雨風(ふうう)をしのぐ。

しばらく千歳(せんざい)の記念(かたみ)とはなれり。

  五月雨(さみだれ)の 降(ふり)のこしてや 光堂(ひかりどう)

[おくのほそ道,岩手県,平泉町,28 平泉]

最終更新時間:2010年02月19日 19時19分09秒