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29 尿前の関

[おくのほそ道,宮城県,大崎市,鳴子,山形県,最上町,境田,29 尿前の関,,]

29 尿前の関(しとまえのせき)




地図


尿前の関 小黒ヶ崎 美豆の小島 封人の家

原文


南部道(なんぶみち)遥(はるか)に見やりて、岩手(いわで)の里に泊(とま)る。

小黒崎(おぐろさき)・みづの小嶋(こじま)を過(すぎ)て、なるごの湯(ゆ)より尿前(しとまえ)の関(せき)にかかりて、出羽(でわ)の国に超(こ)えんとす。

この路(みち)旅人(たびびと)稀(まれ)なる所(ところ)なれば、関守(せきもり)にあやしめられて、漸(ようよう)として関(せき)をこす。

大山(たいざん)をのぼつて日すでに暮(くれ)ければ、封人(ほうじん)の家(いえ)を見かけて舎(やどり)を求(もと)む。

三日(みっか)風雨(ふうう)あれて、よしなき山中(さんちゅう)に逗留(とうりゅう)す。

  蚤(のみ)虱(しらみ) 馬(うま)の尿(ばり)する 枕(まくら)もと

あるじのいふ、これより出羽(でわ)の国に大山(たいざん)を隔(へだ)てて、道さだかならざれば、道しるべの人を頼(たの)みて越(こゆ)べきよしをもうす。

さらばといいて人を頼(たの)みはべれば、究境(くっきょう)の若者(わかもの)、反脇指(そりわきざし)をよこたえ、樫(かし)の杖(つえ)を携(たずさえ)て、我々(われわれ)が先に立ちて行(ゆ)く。

今日こそ必(かなら)ずあやうきめにもあふべき日なれと、辛(から)き思ひをなして後(うしろ)について行(ゆ)く。

あるじのいふにたがはず、高山(こうざん)森々(しんしん)として一鳥(いっちょう)声きかず、木(こ)の下闇(したやみ)茂(しげ)りあひて夜る行(ゆ)くがごとし。

雲端(うんたん)につちふる心地(ここち)して、篠(しの)の中踏分(ふみわけ)踏分、水をわたり岩に蹶(つまずい)て、肌(はだ)につめたき汗(あせ)を流(なが)して、最上(もがみ)の庄(しょう)に出(い)づ。

かの案内(あんない)せしおのこのいふやう、この道かならず不用(ぶよう)のことあり。

恙(つつが)なうをくりまいらせて仕合(しあわせ)したりと、よろこびてわかれぬ。

跡(あと)に聞きてさへ胸(むね)とどろくのみなり。

[おくのほそ道,宮城県,大崎市,鳴子,山形県,最上町,境田,29 尿前の関,,]

最終更新時間:2010年02月19日 21時24分13秒