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42 那谷・山中温泉

42 那谷・山中温泉(なた・やまなかおんせん)


地図


原文


山中(やまなか)の温泉(いでゆ)に行(ゆ)くほど、白根が嶽(しらねがだけ)跡(あと)にみなしてあゆむ。

左の山際(やまぎわ)に観音堂(かんのんどう)あり。

花山(かざん)の法皇(ほうおう)三十三所(さんじゅうさんしょ)の順礼(じゅんれい)とげさせたまひて後(のち)、大慈大悲(だいじだいひ)の像(ぞう)を安置(あんち)したまひて、那谷(なた)と名付(なづけ)たまふとなり。

那智(なち)・谷組(たにぐみ)の二字(にじ)をわかちはべりしとぞ。

奇石(きせき)さまざまに、古松(こしょう)植(うえ)ならべて、萱(かや)ぶきの小堂(しょうどう)岩の上に造(つく)りかけて、殊勝(しゅしょう)の土地なり。

  石山(いしやま)の 石より白し 秋の風

温泉(いでゆ)に浴(よく)す。

その功(こう)有明(ありあけ)につぐといふ。

  山中(やまなか)や 菊(きく)はたおらぬ 湯(ゆ)の匂(におい)

あるじとするものは久米之助(くめのすけ)とていまだ小童(しょうどう)なり。

かれが父誹諧(はいかい)を好(この)み、洛(らく)の貞室(ていしつ)若輩(じゃくはい)のむかしここに来たりしころ、風雅(ふうが)に辱(はずか)しめられて、洛に帰(かえり)て貞徳(ていとく)の門人(もんじん)となつて世(よ)にしらる。

功名(こうみょう)の後(のち)、この一村(いっそん)判詞(はんじ)の料(りょう)を請(うけ)ずといふ。

今更(いまさら)むかし語(がたり)とはなりぬ。

[おくのほそ道,石川県,加賀市,山中温泉,小松市,那谷,42 那谷・山中温泉]

最終更新時間:2010年02月21日 10時29分32秒